ベネッセコーポレーションは、公益財団法人日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会とのサービスプロバイダー契約を経て、ベネッセの小中学校向けタブレット学習支援ソフト「ミライシード」に、教材『I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版を搭載いたしました。2022年11月14日より小学校・中学校向けそれぞれの教材が「ミライシード」導入校で無償にてご利用可能となりました。
「子どもたちにSDGs について学ぶ機会を提供できる!」と、導入を進めたミライシードを開発する事業部の齋藤素子にその思いを聞きました。
国際パラリンピック委員会公認教材『I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版とは
『I'mPOSSIBLE』日本版は、パラリンピックを題材に共生社会への気づきを子どもたちに促す教材で、パラリンピックの歴史や競技について学ぶだけでなく、パラリンピック選手の活躍を通して、人権、多様性の尊重、他者や社会とのかかわり、共生などについて学びを深めることを目的として開発されました。
小学生版、中学生・高校生版ともに以下の全 14 授業分のユニットで構成されています。各ユニットは全て独立しており、どれかひとつだけでも、複数を組み合わせても使用することができます。パラリンピックや共生社会のことをあまりご存じでない先生にも、1 時間程度のご準備で使用いただける内容となっていて、体育はもちろん、総合学習や道徳、社会などの時間に、人権、共生社会、バリアフリー、スポーツの持つ力など様々な視点から活用できるものです。
この日本版は、国際版の教材をベースに、再編集したもので、授業用のスライドやワークシート、映像教材、指導案に加え、それぞれのスライドを使用する際の声かけ例や関連情報を記載した教師用ガイドがセットになっています。東京2020パラリンピックの終了に伴い教材の改定が行われ、ダウンロードして使用できるようになっていますが、さらに授業に活用しやすいように、今回ミライシードへの搭載が決まりました。
日本パラリンピック委員会からの期待に応えて
『I'mPOSSIBLE』日本版事務局を担う日本パラリンピック委員会は、広く子どもたちにリーチするチャネルを探すなかで、ベネッセのミライシードに注目し、ベネッセは、ミライシードに搭載して利用校へ無償配信する判断をしました。
長野パラリンピックの金メダリストで、現在国際パラリンピック委員会の理事でもある、日本パラリンピック委員会の『I'mPOSSIBLE』日本版 プロジェクトマネージャー マセソン美季さんからは以下のコメントをいただきました。
「 個別学習・協働学習・一斉学習・それぞれの学習場面に対応した義務教育向け ICT ソフト『ミライシード』で『I'mPOSSIBLE』日本版が運用されることになりました。急速に進む学校教育のデジタル化の中で、この『ミライシード』ならではの機能を活用し、共生社会について一人ひとりが考え、仲間と共有し合い、クラス全体で丁寧な対話を深める学習が活性化されることに期待を寄せています。」
導入が決まった時に感じたこと...この教材で培われる力を子どもたちに!
導入時のことを齋藤は振り返ります。
「ミライシードでは、学校教育へのデジタル導入を活かして、従来は困難であった子ども一人ひとりに最適な問題の提供することや、子どもの思考を深める協働学習、一人ひとりの学習効果の可視化といったニーズに応える学習ソフトの提供に取り組んでいます。
こうした学習ソフトの充実の一環として、学校現場でも関心の高い SDGs を大きなテーマとした国際理解・環境・情報・福祉・健康などの領域での、優れた教材・プログラムを提供したいと考えていました。そこに『I'mPOSSIBLE』日本版のお話をいただきました。
担当として初めて教材を見たとき、共生社会を考えるために実に良い教材で、ぜひ搭載したい!と思いました。共生社会を考える学習や取り組みを授業で実践したいと思っていらっしゃる先生方は多くいます。でも同時に、いったいどう授業にすればよいのだろうと悩まれる先生方も多いです。授業の進め方は試行錯誤の途中で決まった形があるわけではないので、『I'mPOSSIBLE』という教材が増えることで、子どもたちが学び、考える時間が増えるというのは非常に意味があると思いました。
私の身近にも先天性の障がいのある人がいます。それは私にとって特別ではなく普通のことです。障がい者・健常者という話ではなく、『他者に対する思いやりやともによりよく生きていくためには何をしていけばいいかを一緒に考える』というこの教材のスタンスが自分自身としても納得感がありました。
この教材を使って授業を進めていけば、子どもたちにこのような共生社会への感覚が培われていくのではと思ったのです。」
ミライシード搭載にあたっての留意点...少しでも授業が進めやすいように
搭載時に工夫した点も聞きました。
「国際パラリンピック委員会の公認教材であるので、忠実に再現できるようにしました。むやみにコンテンツを増やすようなことはしていません。先生が使いやすように、授業の流れにそって加工しています。
ワークシートの中には複数の質問が記入されています。本来ならば授業を進めていく途中で1つずつ質問をみせたいところですが、紙のワークシートの場合は、そのたびに紙を配布することはできません。だから、先の質問まで子どもが読めてしまうことが、ときに授業の妨げになることもあります。
ミライシードの搭載時には、質問ごとにワークシートを作ることができます。また、子どもたちの意見や考えをクラス全員で共有することが可能であるため、正解がなく、周りの人との意見の共有をしながら授業を進める教材は、とても相性が良いと思いました。」
より広げる試み...先生向けウェビナーの実施
授業でのミライシートの有効的な使い方などを、先生方と情報交換する機会を定期的に作っています。12月9日に『I'mPOSSIBLE』日本版についての研究会を実施しました。マセソン美季さんを講師にお呼びし、『I'mPOSSIBLE』誕生の背景やこれまでの活動のご紹介をいただきました。また実際活用した先生から授業事例をご紹介いただきました。
参加した先生がたからは以下の声をいただきました。
「この授業を実践して、児童の発言や考えて教師が教えられることがあるという発表が印象的でした。子どもたちの共生社会への気づきを促す授業にトライしてみたいと思います。」
「子どもたちと「I'mPOSSIBLE=私はできる」という考え方を念頭に置いて、教員も含めチャレンジしていこうと思いました。」
「貴重な実践報告ありがとうございました。とても参考になりました。東京2020パラリンピックを契機に、これからが『共生社会づくりの実現に貢献できる児童・生徒の育成』の本番だと考えています。お互いに頑張りましょう。」
ベネッセグループは、様々な方々と協力し合いながら、これからの世界を生き抜く子どもたちに、よりよい学びの提供を続けていまいります。