2019/08/31

地域でのあいさつ、する?しない?

【安全インストラクター武田信彦のコラム「一般市民による防犯とは?」】(第34回) 

 

 

 子どもが巻き込まれる事件が発生するたびに、防犯意識が高まります。現代は、子どもだけの状態になりやすい環境。子ども、保護者、地域のそれぞれが、防犯のためにできることを確実に行うことが必要です。 一方、最近多く聞かれるのが、「地域でのあいさつをしない」という声です。保護者からは「子どもに他人と接してほしくない」という意見があったり、子どもたちからは「あいさつされたら、逃げる」という声が聞かれたりします。重大事件が起きるたびに、そのような声は増えていると感じます。 その背景には、犯罪への不安感があります。そして、不安のスパイラルが、「あいさつをしない」=「地域でのコミュニケーションの遮断」を生み出しているのではないでしょうか。

 

~犯罪への不安感のスパイラル~

不審者に気をつけろ→知らない人に気をつけろ→地域の人も知らない人→あいさつをしない

 

 

そして地域でのコミュニケーションの遮断は、つぎのような状況を引き起こすと考えられます。

 ① 悪意ある人と接触する可能性が減る → 子どもの防犯にプラス

 ② 善意ある人の見守りや助け合いの環境が弱体化する → 子どもの防犯にマイナス

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 地域で見守りを行う方々からも、「最近、あいさつが減った」「返事をしてもらえない」といった声が届いています。こうした状況は、防犯活動のモチベーションに大きく影響します。継続するための気力が減退してしまうからです。

 

 

 「あいさつをする・しない」は、個人が自由に決めてよいことです。また、「あいさつをしなければいけない」といった強いメッセージも今の時代にはあまりなじまないでしょう。しかし、あいさつを交わすことで生まれる「ゆるやかなつながり」は、子どもの安全を高める「見守り」や「助け合い」の土台として、大切なものだと言えるでしょう。

 

 あいさつをなくすことは、簡単なことかもしれません。しかし、一度なくした習慣を復活させるのはなかなか大変なことです。防犯のための対策が、防犯のための底力を弱体化させてしまう可能性があることを、十分に理解しておかなければなりません。防犯において、そのバランス感覚の大切さ、ひいては地域のあり方そのものを、よく考える時期になってきているのかもしれません。

 

 

 

執筆者:武田信彦(たけだ のぶひこ)さん 

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うさぎママのパトロール教室主宰

安全インストラクター

 

 犯罪防止NPOの幹部などを経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。 「一般市民としてできる安全のコツ」をテーマに全国で講演やセミナーなどを多数実施中。 子どもたちの安全力向上を目的とした「安全ワークショップ」も好評を得ている

 

サイト : うさぎママのパトロール教室 http://www.usagimama.com/

 

 


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