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中村講師

2013慶應論文入試

今年の慶應入試の小論文は、一言で言えば「平穏」でした。

昨年は、経済学部がほぼ現代文と言ってよい問題だったり、

法学部でこの10年出題のなかった複数課題文が出題されたり、

といった比較的大きな変動があったのですが、

今年はどの学部も2年前の姿を取り戻したかのように

正統的な問題を課してきました。

とくに法学部は、明治期の内閣のあり方を述べた1つの課題文を読んで、

現在の内閣総理大臣のリーダーシップについて意見を書くという、

法学部としてはきわめて「ベタ」な出題でした。


ただ、あえて「変動」を挙げるならば、複数課題文が

この10年出題されたことがなかった経済学部で出題されたことでしょう。

問われたのは原発再稼働の是非というきわめて今日的な問題で、

課題文がⅠ、Ⅱと二つあり、Ⅰは日経新聞の社説、Ⅱは朝日新聞の社説で、

Ⅰは再稼働に賛成の立場、Ⅱは反対の立場です。

設問も二つあって、ⅠⅡ両者の異同を書けというものと、

仮に再稼動の賛否についてあなたの意見に対し

異なる意見を持つ友人から批判を浴びたと想定して、

あなたの意見と、友人の意見内容と、

どのようにしてその対立を乗り越えようと考えるか、

という「乗り越え方」を書けというものでした。


実は、この「乗り越え方」というのがクセ者で、

相手を「批判」「論破」せよ、とは書いてないのです。

いわゆるディベートならば、自分の立場の正当性を主張し、

相手の立場を批判すればいいのですが、

「乗り越え方」という表現はすこし「意味深」ですね。

再稼働に反対するのか賛成するのかは結局は二者択一で、

それは仕方ないのですが、「乗り越え方」というのは、

単に相手の批判をすればよい、という意味ではないでしょう。

いずれの立場をとったにしても、

完全にうまくいかないのが現実というもので、

再稼動に賛成したとしても、

あの震災以降明るみになった原発の危険性という問題が残りますし、

反対したとしても、あの震災以降全国民が直接に経験した

電力不足の不便さという問題が残ります。

いずれの立場にしても、そうした問題を指摘することで、

相手を批判するわけですから、

「乗り越え方」を書けというのは、

要はその問題を解決できるような考え方まで示せということでしょう。

もし高校生なら誰でも思いつくことができる

「乗り越え方」を示せというならば、

たとえば風力などの代替エネルギーを開発しなければならないという

意見自体はどちらの立場をとっても否定できないはずです。

それを原発ゼロを目指す立場から言うのか、

原発維持を目指す立場から言うのかが違うだけですね。


このように、「乗り越え方」という一言の意味を考えるだけでも、

これまでの私のブログでたびたび指摘してきた

設問分析の大切さがお分かりいただけたかと思います。


ところで、この問題を取り上げたのはもう一つ意図がありまして、

それは同じ経済学部の英語に、こんな問題があったからなのです。

それは、英語の課題文を4つ(Ⅰ~Ⅳ)読んで、

それぞれの内容についての小問を解いた後で、

その内容を踏まえた自由英作文を書けという問題でした。

設問は、

A)Should zoos in Japan be abolished? Why, or why not?

(主にⅠ、Ⅱを参照)

B)Should we treat biological resources as property? Why, or why not?

(主にⅢ、Ⅳを参照)

のいずれか一方を書けというものです。

しかも、自分の意見と異なる見解にも言及することが

注意書きで求められています。

たとえばA)なら、動物園廃止論の立場で書くとしても、

動物園賛成論者の立場を考慮して書かねばならないということになりますね。

この問題の場合は、「乗り越え方」までは書かなくてもいいのでしょうが、

英語で書くという制限のなかで、

上記日本語小論文と相通ずるような思考が求められています。

慶應経済学部の先生方がどのような意図で

このような出題をしているのかは知る由もありませんが、

ここに慶應入試が求めている

知性の一端が現れているように思えてなりません。



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2013年3月19日 | 入試傾向・分析