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中村講師

慶應論文入試2010



久しぶりに更新します。

お茶ゼミでは毎年論文科の先生方に集まってもらって、

最新の慶応論文入試の分析会をするのですが、

今年はベネッセの小論文編集部の方にも同席いただいた上で、

分析を行いました。

本日はその一端をご紹介したいと思います。




まず2010慶應入試の論文の総括をしますと、

「2009年度に比べて、難しくなったな」

といった感じです。



とはいえ、総合政策のように

比較的取り組みやすくなった学部もありますので、

一概には言えませんが、

経済学部のように「思い浮かばなかったら書けない」

という意味で難しいのもあり、

法学部のように「なんじゃこりゃ」と思わず言ってしまう

という意味で難しいのもありました。



その法学部の問題ですが、

ここ数年の過去問を中心に演習していた受験生は、

一番びっくりしたものではないでしょうか。



詳しい内容は大手新聞社のウェブサイト内にある

速報版で見ていただければ早いのですが、

要は、古代ギリシャを舞台にして、

都市国家「アテーナイ」の「帝国主義的膨張」(設問中の言葉)に対して、

開戦するかしないかを、

自らがラケダイモン(都市国家「スパルタ」のこと)の市民だと想定して書く、

というものでした。



これについて会議で問題になった点は、

K先生から提起されたもので、

このように現代の法学部生を採るための試験において、

「開戦する」という答え方をしてもいいのか

というものでした。



つまり、従来の慶應法学部の出題は原則、平和愛好型であり、

できるだけ衝突を避けながら…という発想がベースにある。

戦争するという答えも書いてはいけないわけではないが、

上記の傾向を考慮するとそのような答え方はしない、

つまりあくまで開戦しない立場で書くことが

事実上求められているのではないか、というものでした。



なるほど、過去の問題、たとえば04、05、07年度などを見ますと、

それもよくわかります。

とりわけ、課題文での「アテーナイ」は、

現代で言えばアメリカに置き換えればわかりやすく、

アメリカがいかに横暴であろうとも、

それと開戦するという方策は現実には難しいわけですから、

K先生の言うことは正しいようにも思えます。



ただし、今回の問題の設問文を見る限り、

現代への言及は必要なく

「開戦すべき」と書いて合格したお茶ゼミ生もいますので、

私の見るところでは、

仮に開戦するという立場で論じるなら

(1)開戦する場合のメリットを述べた上で、

(2)開戦しない場合のデメリットを述べる

ということは答案の論理構成上最低限必要でしょう。



その上で、さらに

(1’)開戦する場合のデメリット

(2’)開戦しない場合のメリット

を想定して、それでもなお開戦することを選ぶ理由を説明すること

ができれば、

すくなくとも論理構成上は「落ちない」論文ができるように思います。

(仮に開戦しない立場で論じるなら、上記の「開戦する」「開戦しない」を入れ替えればよい)



あとは(1)(2)(1’) (2’)それぞれの内容の説得力次第ですね。

結局この問題では、課題文で与えられた条件の中で、

そうした「功利判断」(損得についての判断)をして、記述できるか否か、

が試されていたと考えればよいと思います。



つまり、課題文を手がかりにして、

広い意味で現実についての論理的判断ができるかどうかが

試されているので、

その限りでは、ここ数年の慶應法学部の小論文と

変わるところはないというべきでしょう。



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2010年03月31日 | 慶應