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早慶・難関国立 合格の流儀

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中村講師

慶応小論文の鍵――キーワードを駆使する(2)

前回の続きです。

前回示した問題は2002年慶応法学部のものですが、この年法学部に

合格したお茶ゼミ卒業生(ということはもう社会人になっているはずです)

はこんな答案を書いてくれました。

もちろん、英語と地歴は7割以上ちゃんと取れてましたよ。



【合格答案例(表現には手を入れています)】

筆者のいう「つるつるしたもの」という言葉に対して、私は「しっとりした

もの」という言葉を選びたい。というのも課題文中にいう「つるつるした

もの」は、日本に欧米から輸入された様々なものを象徴しているように

私には思えたからである。

「つるつるとした」水べりは、水を浸透させず、私たちの何かを拒む人

間味を感じさせないものだと筆者は言う。これと同様に、現代の日本人

は、欧米人のようにあっさりさっぱりとしてお互いを受け入れない「つる

つるとした」関係を好むようになり、古来からの濃密な「しっとりとした」

人間関係を疎むようになってきているのである。

かつて日本人は他人との和を重んじ、近隣の人との情と情の関係と

それから構成される村などの共同体をとても大切にしていた。互いに

子供を預けたり、何かあれば協力して助け合って生きていくことが当

然とみなされていた。しかし、西洋的な「つるつるとしたもの」の代表で

ある便器が日本に流入するようになった頃からであろうか、日本人は

従来のこうした「しっとりとした」関係を嫌うようになった。その結果、欧

米人のように相手の心と自分の心に距離をおき、決して必要以上に近

づけない「つるつるとした」関係が日本人に好まれるようになり、主流に

なり始めたのである。だからこそ私たちは「つるつるとして」何かを隔て

るようなウォーターフロントにこれほど惹かれるのではないだろうか。

しかし、このような「つるつるとした」人間関係を好む傾向が、現在の

社会問題を引き起こす一因となっているとも考えられるのだ。たとえば

年々増える少年犯罪も、人との関係を学ぶことなく成長していく少年た

ちが、孤独感や寂しさなど心のすき間を埋めようとして起こしている問

題だということができる。人との関係をどう確立してよいかがわからない

ために自らを見失い、引きこもりになることも考えられる。このように「つ

るつるした」人間関係によって生じる弊害にも目を向け、もう一度自らの

人間関係のあり方について考えるべき時に私たちは立たされているの

ではないだろうか。



要するに、この問題の出題意図は

「つるつるしたもの」=欧米的精神

を課題文から読み取り、これと対比する形で

「○○したもの」=日本的精神

を問うということでして、これに制限時間内に気づけるかどうかが、

勝負の分かれ目
だということです。ですから、これに気づかないまま

二つのキーワードを連ねて書いているだけでは、高得点には決してな

らなかったでしょう。

上記の答案はこうした出題意図を見抜き、日本人における「しっとりした

もの」の中身を明らかにし、「つるつるしたもの」への移行を指摘し、それ

によって生じたと思われる問題を解明するという論旨になっています。

これが慶応小論文で「キーワードを駆使する」ことの具体的な形で

あり、単純な論旨ではあっても、制限時間内にこの程度書ければ、小論

文で落ちることはまずありえません。



 慶応小論文が求めているのは、「なんとなく書く」ことでは決して

ないよ、ということがお分かりでしょうか。




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2008年07月08日 | 慶應