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中村講師

慶応小論文での要約説明問題(2)

前回の続きです。

何がともあれ、(このブログでは)恒例の設問分析からはじめましょう。

意味を尋ねられている言葉は「真の客観性」でしたね。

これだけでもすでにヒントです。まず「客観性」って何でしょうか。

現代文では、皆さんこれを「客観性(or客観的)⇔主観性(or主観的)」と

いう対義語で覚えてますよね。

これを手ががりにして、「主観性」とは反対の「客観性」の具体例を思い出して

みてください。

たとえば、「1+1=2」とか「地球は太陽の周りを回っている」のように・・・。

要するに「客観性」とは、“「人それぞれで違う(=主観的)」ことが許されない”

ような事柄ですね。

ところが出題者は、設問に「著者が「生活」と結びつけて語っている内容を

もって」という条件をつけています。その意図は、ズバリ

“そんな現代文で覚えてるような「客観性」を尋ねてんじゃね~ってことに

気をつけて課題文を読めよ!”

ということです。

常識的に考えれば、・・・



・・・そんな「客観性」が「生活」と結びつくことなどまずありえないはずです。

それなのに、筆者にとっては結びついています。だから筆者は「真の客観性」と

表現していて、これは筆者独特の(=常識とは違った)意味内容を持っていると

示しています。

以上を踏まえて課題文を読み直してみますと、第一段落後半に、その意味内容を

表す一連の文章を見つけることができます。そこでは、人々の基礎的な「生活」の

場では、外国人も日本人も一致する、と語られています。

この一致のことを筆者は「真の客観性」と表現しているわけです。おそらく、

“衣食住や労働のようなレベルでは、国ごとにそれぞれ違うなんてことはない”

と筆者は考えているのでしょう。

そこで、生徒の答案例を一つ検討してみましょう。

「自分の生活だけを主観的に捉えるのでなく、他の人間の経験と一致している

ということを考えること。」

結論から言えばこの答案は×です。ただ、「客観性」を表現しようとして「主観

的に捉えるのでなく」と書いているところなど、クサいところは突いています。

しかし、課題文で筆者が言おうとしているのはそういう「捉え方」ではありま

せん。ですから、たとえば

「自分の生活の場は、人それぞれ違う主観的なものではなく、他の人間のそれと

一致すること。」

とでも書いていれば、○ではないにしても、△で部分点をもらえる可能性は出て

きます。

ただ、これでは課題文の記述から離れすぎているので、できるだけ課題文の

中にある言葉を使いながら、上記の論理を答案に表すと次のようになります。

「生活の場に下って見ると、人間のぎりぎりの条件は普遍的であり、他者との

違いを超えて一致するということ。」

あるいは

「民衆の生活の場では、そのぎりぎりの条件は普遍的であり、国や文化の違い

を超えて一致するということ。」

このように、設問分析に対応して、課題文中の該当箇所を探し、その論理構造

を答案に表現すること・・・これは、慶応小論文の要約説明問題の鉄則
だと

言えます。



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2008年06月04日 | 慶應