前回に引き続き、「設問分析力」の大切さを文学部の問題で示したいと思います。
応用編ですから、いきなり分析用の記号つきで示しますよ。
(a)一九八〇年代から新世紀にかけての日本における欧米文化への対応とは
どのようなものか。(b)対象を必ずしも音楽に限定せず、あなたにとってもっとも
関心の深い文化の領域を一つ選び、(c)あなた自身および(d)社会全体の問題
として論じなさい(400字以内)。(課題文は省略)
めんくらわずに、まず何が尋ねられているか確認しましょう。
それはもちろん(a)ですね。
でも、(b)はともかく、「(c)および(d)」という条件がわかりにくいんですよね。
手がかりは(a)にあります。「一九八〇年代から新世紀にかけて」は、高校生が
生まれ育ち、いま生きている時代のことです(この問題は2001年のもの)。
勘のいい人なら、なぜ(c)が設問にあるかもう分かるはず。日本の高校生なら誰
でも必ず欧米文化に触れてきているはずですよね。ですから、(c)は「あなた自身
の経験した範囲で」という意味であり、たとえば「私は…が好きだ」という一人称的
な視点をハッキリと押し出す必要があるのです。
それは(b)の文化の領域を確定しなければ書けません。通常「○○文化」と呼ば
れているもの、「食文化」、「言語文化」、「映像文化」…他にいくらでもあるでしょう?
しかし、自分の経験をただ書くだけでは、単なるオタクの知識披露になりかねませ
ん。そこで(d)は、(c)を自分だけではない社会の動きの中に位置づけられるかを
試しています。そういう三人称的な視点を欠いてはならないという指示なのです。
以上より、上記設問はこう変換できます。
設問の真意:
(a)あなた方高校生は、生まれてから、今現在に至るまで必ず欧米文化に触れて
生活しているはずですが、その欧米文化に、日本人はどのように対応してきてい
ると言えるでしょうか。(b)音楽以外の分野でかまいませんから、あなたにとって
もっとも関心の深い文化の領域を一つ選び、(c)まずは、あなた自身のこれまで
の人生で経験した範囲で述べなさい。(d)でも、だからといって単にあなたの趣味
でマニアックに答えるだけではなく、社会全体の動向と関連させて述べなさい。
このような変換が自在に出来るようになれば、もはや慶応論文のエッセンスを理
解したと言っても過言ではありません。
次回は、設問分析を基にした答案構成にまで踏み込んでみたいと思います。
お楽しみに!
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