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2015年08月19日更新
「本物」の学力を身につけるために必要なこと(1)

「読み書き計算」だけが学力ではない。学習力は将来にわたり、学びを支える大切な力です

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学力とひと口にいっても、「まずは読み書き計算」と考えるかたもいれば、「考える力が大切」というかたもいらっしゃるでしょう。それとは別に、「自分から進んで勉強してほしい」「やる気をもって取り組んでほしい」など、子供たちに「こうあってほしい」と思うことはたくさんあると思います。この特別連載では、3回にわたって、「本物」の学力とは何か、身につけるために何が大切なのか、ということを改めて考えてみたいと思います。第1回は、ベネッセ教育総合研究所顧問でもある教育の専門家の話から、学習力とは何かについてお伝えします。
八木義弘(やぎよしひろ)先生

ベネッセ教育総合研究所顧問。元東京都公立小学校校長。長年小学校教育をリードする、算数教育の第一人者でもある。

「進研ゼミ小学講座」が考える「学習力」って、何?

学力の定義はさまざま。実はずっと論争の的

今回、改めて「学力/学習力とは何か」ということを考えてみようと思うのですが、先生の考える「学力」「学習力」とはどんなものですか?

わたしは「学力」とは、「知識・技能」「思考力」「意欲・関心・態度」「学び方」の4つで構成されると考えています。学力の定義はずいぶん長いこと論議されていて、いろいろな考え方があるんですよ。

「進研ゼミ 小学講座」では、「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」の3つを「学力」、「学習意欲」「学習習慣」「学習スキル」の3つを「学習力」と定義して、両面を育てることによって、将来にわたって伸び続ける学力を身につけることをめざしています。

そうですね。そういったさまざまな要素によって、本物の学力は身についていくものだと思います。わたしがその中でも大切だなと考えているのは、学ぶことへの興味・関心、そして学び方。学習スキルといってもいいのですが、この2つが学力を伸ばしていくのに、とても重要な「学習力」だと考えています。

 

学力を伸ばすのに大切なのは「学び方」

 

学び方というのは、どういうものですか?

例えば、くり返して学ぶとか、生活の中から学ぶとか、五感を使って、体験的に学ぶ、くり返して学ぶなど、具体的な学び方のことです。さらに目標をもって学習計画を立てるなど、学習習慣をつけるといったことも含まれるでしょう。

親世代は、あまり具体的に意識していなかったことかもしれません。

なぜそれが大切なのでしょうか。

漢字やかけ算など、知識はくり返して学ぶことが大切なのは当然だと思いますよね。でも、例えば文章題を解くというときに、興味や関心のないまま、単にくり返して技能を身につければいいのかというと、それだけではない。お菓子や飲み物を分けるわりざんの文章題でも、問題が意図していることを読み取り、自分の力で判断できる力をつけなくてはいけないのです。

そういったときに大切になってくる学び方というのが、「生活から学ぶ」「具体的に学ぶ」「五感を使って学ぶ」ということ。机に向かってじっと取り組むだけでなく、日常生活の中で、どんなふうに学んだ知識や技能が役に立つのか実感することが、深い理解の一助になり、「学ぶことが楽しい」という関心・意欲・態度にもつながってくるのです。

お菓子を3人で分けたり、飲み物を同じ分量ずつ分けたり、といった生活の中で、数や量の概念を学ぶことができます。おうちのかたには、ぜひそういったことを心がけていただきたいですね。

もうひとつ、学び方で重要なのが、「試行錯誤すること」です。これも大切なのは日々の関わりです。

生活から学ぶにしても、試行錯誤するにしても、けっこう手間ヒマのかかることです。でも、こうした学び方をしていくことで、どのように解決すればいいのかが実感としてとらえられ、いちばん大切な「問題解決力」が身についていくんですね。問題解決の力は、学習のみにとどまらず、将来社会の中で生き抜くために、非常に重要な力なのです。

 

「問題解決力」も学び方次第で伸ばせる

問題解決力、すごくつけさせたいです!でも、普通に勉強してるだけで、身につけることはできるのですか?

学習の中での問題解決力とは、基本的には既習事項の中から、使える知識や技能はないかと考えること、すなわち、問題を読んだら、次に問題の解決のしかたを既習事項や、例えば図で考えれば解けるだろうと計画を立てられることです。これらは思考力とつながる部分です。

おうちのかたには、こうした力をつけるために、まず「待つ」ということを心がけていただければと思います。子供がじっくり考えているときや、どうすればできるだろうと試行錯誤しているときに、先回りして解決方法や答えを教えたり、なぜわからないのかと叱るのではなく、考えている時間、試行錯誤している時間を、じっと待ってあげてほしいですね。

毎日忙しくて、なかなか難しいことかもしれませんね...

そうかもしれません。でも、小学生の今、こういった基本的な「思考する」という態度を身につけておくことで、将来、中学・高校に進んでより複雑な問題に自分で取り組む素地ができるのです。

高学年になっても、生活の中で具体的に学ぶことは重要です。例えば時間・速さを学ぶとき、大人は公式を覚えればいいと思うかもしれませんが、一定の道のりを自転車で走っったらどれくらい時間がかかるか、実際にはかって速さを求めてみることで、真の理解につながり、身に付いて忘れないのです。

高学年でもできるだけ五感を使って学ぶやり方を取り入れたほうがいいんですよ。

要は、学力をつけるためには、ただ机に向かって問題を解けばいいということではなく、生活全般の場面を学びの場としてとらえていくことが、特に重要だと思います。

 

やる気や学習習慣も「学習力」

おうちのかたには、学習習慣や、やる気といったことも気になる点です。

これもまた「学習力」の一部と考えられると思います。そして、それらをきちんと身につけることで、「学力」が伸びていく。

学習習慣とやる気は密接につながっていますが、小学校の、特に低学年のうちに、「習慣」として、やらないと気持ちが悪いくらいのものにしていくことが大切です。

そのためには、はじめは何をどうやるかをリードして、徐々に高めていくことが大切です。「どこで、いつ、何を、どれくらい、どのようにやればいいか」を、明確にしてあげるのです。家庭で学習習慣としてやっていくのは、「何を」の部分は、「知識・技能」が中心でいいでしょう。

ただ、小学生は生活全てが学びといってもいいですから、それを何時間もひたすらやらせることはない。子供は基本、わがままでいいかげんなものですから、やるべきことができたらほめるに値することくらいに考えて、うまく軌道に乗せてあげることです。

しかし、家庭ではなかなかやる気が出ないという声もよく聞きます。

中学校卒業までは、友達との遊びが楽しいので、学習より遊び優先なのが当たり前と思ったほうがいいですよ。できる・できないとは別に、ふつうは遊びたい。教室だと周りが勉強しているからおさえられるが、家庭では、自制心が重要になる。

習慣化されると抵抗感がなくなるので、低学年からの習慣化が大切なのです。

低学年のときは、親がそばにいるだけで心が安定して学習に向かえるので、そういうときに「何を」「どこで」「どれだけ」をしっかり決めて、習慣化できるといいですね。

高学年からであれば、自分でどうすればやる気が出るのか、うまくいくのかを考えさせながら、習慣化する方法を一緒に考えてあげてください。

中学・高校に向けて、また将来にわたって伸び続けるために、家庭でできる重要な準備だと思います。

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