2017/09/30

安全教育でもとめられる、「バランス感覚」

【安全インストラクター武田信彦のコラム「一般市民による防犯とは?」】(第12回)

 

 師として呼ばれた小学校で、安全指導の先生と会話する中で印象的なことがありました。「子どもたちに防犯を伝えるとき、難しさを感じる...」とのこと。学校生活の中では、協調や協力など、人と接する中で多くを学びます。一方、防犯セミナーなどの安全教育では、警戒することや逃げるなど、人と距離をとることを伝えなければいけません。人を信じることと、疑うこと、それぞれを教えなければいけないのです。さらに、行き過ぎた安全指導は、差別や排他にもつながる過剰な警戒心を生み出しかねません

 

 いま、安全教育にもとめられていることは、指導する側のバランス感覚です。「怖いこと」の存在と、「安全の自信」を高めることを、それぞれ適度に伝えることが求められます。怖さばかりが強調されれば、疑似被害のようなトラウマを生み出す危険性があります。また、身を守ることが、暴力を肯定することであってはならないはずです。そもそも、防犯とは、人と接する方法の延長にあるものなので、コミュニケーション力ともいえます。日々の生活の中で身に付いた知恵や知識や力が、いかに身を守るために役立つのか。人との接し方を練習する中で、防犯の基礎となる予防や対処の力も身に付いていきます。まだまだ根強い「防犯=怖い」のイメージを払拭し、身を守るコツが広まるためにも、バランスよい指導やプログラム作りを心がけていきたいと思います

 

 

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執筆者:武田信彦(たけだ のぶひこ)さん

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うさぎママのパトロール教室主宰

安全インストラクター

犯罪防止NPOの幹部などを経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。 「一般市民としてできる安全のコツ」をテーマに全国で講演やセミナーなどを多数実施中。 子どもたちの安全力向上を目的とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。 サイト : うさぎママのパトロール教室 http://www.usagimama.com/


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